あなたが不動産を売却するとき、利益が出ると税金を払わなければなりません。
それがいわゆる譲渡所得に対してかかる税金(所得税・住民税)というものです。
譲渡所得の計算をするときに、売却して利益が出たかどうかは、簡潔に言うと売却した価格から購入したときの価格を差し引けば可能です。
この購入したときの価格を取得費といいますが、この取得費を計算しなければ譲渡所得の計算もすることができません。
ここでは、譲渡所得の計算に必要な取得費・譲渡費用について説明します。
譲渡所得に関する計算方法
譲渡所得についてよくわからないという方はまず「譲渡所得とは?ー不動産売却時の税金」を先に読んでください。
譲渡所得の計算方法は以下の通りとなっています。
譲渡所得 = 譲渡収入金額 −(取得費 + 譲渡費用)
譲渡収入金額とは、土地・建物の譲渡代金(=売却代金)に加えて、不動産契約決済のときに受け取る固定資産税・都市計画税の精算金を併せた金額のことを言います。
取得費とは?
取得費とは、譲渡(=売却)した土地や建物などの取得(=購入)に要した費用のことです。昔に家を買った時の購入費用とも言える。家(=土地や建物)本体の購入代金に加えて、購入時に支払った仲介手数料や登録免許税、登記費用などが取得費として含められます。建物の取得費用については、所有期間中の減価償却費を差し引いて計算しなければなりません。昔、あなたが支払った分のどこまでが取得費に含めれるかどうか詳しく知りたい方は「出したお金のどこまでが共有名義・共有持分に含まれる?」を参照してほください。その記事に費用のうち「取得費になるもの」・「取得費にならないもの」に分けて記載しています。
土地と建物をそれぞれいくらで取得(=購入)したかわからない人は、「土地の価格と建物の価格を分けて計算する方法」を参照してください。
取得費の計算方法
取得費に関しては、次の①②の金額の内、大きい金額を使う。取得に要した費用がわからない場合は①の概算法(=概算取得費)を使います。
①概算法:譲渡収入金額×5%
②実額法:上記の取得に要した費用(≒取得費)から、建物の減価償却費を差し引いた金額となる。 |
減価償却とは?
減価償却とは、時間の経過や使用により価値が減少していく固定資産(ここでは不動産の建物部分)を取得した際に、取得費用をその耐用年数に応じて費用計上していく会計上の処理です。例えば、家を新築で購入したとして、20年後も「新築と同じ価値です!」というのは無理があるでしょう。その20年の間には家も当然劣化が進み、キッチンや風呂などの設備も老朽化しています。つまり、減価償却とは、時間が経過すると価値が下がる資産の価値を、正しく評価するために行なう作業とも言えます。不動産の土地部分のように、時間の経過や使用により価値が減少しないものについては、減価償却資産には含まれないのでここで差し引くのは建物部分だけです。
減価償却費の計算方法
減価償却費の一般的な計算方法としては定額法と定率法があり、特に届出をしない場合は定額法で計算します。マイホーム・セカンドハウスは事業用ではないので、非事業用資産の耐用年数により減価償却費を算出します。また、平成10年4月1日以降に取得した建物は、全て定額法により減価償却費を算出します。
減価償却費(定額法) = 建物購入代金 × 0.9 × 償却率 × 経過年数
法定耐用年数と償却率(定額法)については以下の通りだ。非事業用の耐用年数は事業用の1.5倍で計算します。また、非事業用の経過年数を計算する場合、6ヶ月以上の端数は1年とし、6ヶ月未満は切り捨てて(=5捨6入)計算します。事業用で平成9年12月31日までに取得した資産については()内の耐用年数及び償却率で計算することに注意が必要です。
非事業用 (事業用の1.5倍、マイホーム・セカンドハウス) |
事業用 (賃貸マンション(居住用)) |
||||
耐用年数 | 償却率 | 耐用年数 | 償却率 | ||
建物の構造等 | 木造 | 33年 | 0.031 | 22年(24年) | 0.046(0.042) |
軽量鉄骨 | 40年 | 0.025 | 27年(30年) | 0.038(0.034) | |
鉄筋コンクリート造 | 70年 | 0.015 | 47年(60年) | 0.022(0.017) |
※軽量鉄骨の場合、骨格材3mm以下又は4mm超の場合は耐用年数及び償却率が異なるので注意。
※平成19年3月31日以前に取得した事業用の軽量鉄骨の償却率は0.037となる。
譲渡費用とは?
譲渡費用とは譲渡(=売却)のために直接支払った以下のような費用のことです。
- 土地や建物を売るために支払った仲介手数料など
- 登記もしくは登録に支払った費用(登記費用・登録免許税)
- 印紙税で売主が支払ったもの
- 貸家を売るため、借家人に家屋を明け渡してもらう時に支払った立退料
- 土地などを売るためにその上の建物を取り壊したときの取壊しの費用、建物の損失額
- 測量に支払った費用
- 売買契約後に、他に高い金額で売却するために最初の契約者に支払った違約金
- 借地権を売るときに地主の承諾をもらうために支払った名義書換料など
- その他その資産の譲渡価額を増加させるためにその資産の維持や管理のために支払った費用
譲渡のために支払った金額なので、居住期間に修繕費や固定資産税などその他不動産の維持や管理のためにかかった費用、売った代金の取立てのための費用、物件の抵当権抹消費用などは譲渡費用にならない。
例題
実際に計算してみましょう。
平成10年5月に2,000万円で建築した木造の建物を平成28年1月に売却した。そしてこの建物には平成23年3月に500万円かけてリフォームした。この場合の建物の取得費はいくらになるだろうか。 |
A 新築部分
経過年数は、平成10年5月〜平成28年1月なので、17年と8ヶ月となる。経過年数の計算は6ヶ月以上の端数は1年とし、6ヶ月未満は切り捨てて(=5捨6入)計算するので、18年ということになる。木造なので償却率は0.031になります。
減価償却費=2,000万円×0.9×0.031×23年=12,834,000円
取得費=2,000万円−12,834,000円=7,166,000円
B リフォーム部分
経過年数は、平成23年3月〜平成28年1月なので、4年10ヶ月となります。5捨6入なので5年になります。
減価償却費=500万円×0.9×0.031×5=697,500円
取得費=500万円−697,500円=4,302,500円
建物の取得費は、7,166,000円+4,302,500円=11,468,500円ということになります。
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