あなたは譲渡所得という不動産を売却するときにかかる税金があることはご存知でしょうか。
この計算方法を知って売却するのと、知らずに売却するのでは税金が大きく異なってきます。
譲渡所得を知って売却すると、売却時期などのタイミングも見計らう事になります。
また、譲渡所得の税金がかからない人もメリットを受けれる場合があります。
そもそも譲渡所得とはどのような税金でしょうか?
ここでは、非常にわかりにくいと言われる譲渡所得の計算方法についてできるだけわかりやすく説明します。
譲渡所得とは?
不動産を売却した利益を譲渡所得といいます。もう少し付け加えると、不動産を売却したとき、売却代金から不動産の購入したときの代金(=取得費)と売却するときにかかった費用(=譲渡費用)を差し引いた利益(=売却益)を譲渡所得といい、その利益に対して所得税と住民税がかかります。そのため、売却して損失が出るなら課税されません。しかしながら、損失の場合にもメリットとなる特例があります。
不動産の譲渡所得の課税方法について
所得税は、給与所得や不動産所得など各種所得金額を合計し総所得金額を求め、これについて税額を計算する総合課税が原則です。総合課税であると、利益が出た所得と損失が出た所得を相殺できます。いわゆる「損益通算」ができるわけです。それに対して、不動産の売却に伴って生じる譲渡所得については、他の所得とは合算せず、個別に計算する分離課税になります。
課税方法は所有期間によって異なる
土地・建物を譲渡した場合、長期譲渡所得と短期譲渡所得の区分に分けられて、譲渡した年の1月1日現在において、所有期間が5年以下か、5年を超えるかにより判断します。
所有期間 | 判定 |
5年を超える土地・建物等 | 長期譲渡所得 |
5年以下の土地・建物等 | 短期譲渡所得 |
つまり、平成22年4月1日に不動産(土地・建物)を取得した場合、平成28年1月1日以降なら5年超として長期譲渡所得、平成27年12月31日までであれば5年以下として短期譲渡所得になります。計算上は平成27年4月2日に満5年を超えるが、基準は譲渡した年の1月1日現在であることに注意します。
譲渡所得の税率表
譲渡益に対する税率、対象となる不動産の用途や所有期間により税率が異なります。譲渡所得の税率は以下の通りです。
所有期間 | |||
長短区分 | 短期譲渡所得 | 長期譲渡所得 | |
期間 | 5年以下 | 5年超 | 10年超所有軽減税率の特例 |
居住用 | 39.63% (所得税30.63% 住民税9%) |
20.315% (所得税15.315% 住民税5%) |
課税譲渡所得6,000万円以下の部分14.21% (所得税10.21% 住民税4%) 課税譲渡所得6,000万円超の部分20.315% (所得税15.315% 住民税5%) |
非居住用 | 39.63% (所得税30.63% 住民税9%) |
20.315% (所得税15.315% 住民税5%) |
※上記税率には、復興特別所得税(平成25〜49年)として所得税の2.1%相当が上乗せされています。
譲渡所得に関する計算方法
譲渡所得の計算方法は以下の通りです。
譲渡所得 = 譲渡収入金額 −(取得費 + 譲渡費用)
譲渡収入金額とは、土地・建物の譲渡代金(=売却代金)に加えて、不動産契約決済のときに受け取る固定資産税・都市計画税の精算金を併せた金額のことを言います。
取得費に関しては、次の①②の金額の内、大きい金額を使います。取得に要した費用がわからない場合は②の概算法(=概算取得費)を使います。
①実額法:土地・建物の購入代金と取得に要した費用を合計した金額から、建物の減価償却費を差し引いた金額
②概算法:譲渡収入金額×5% |
譲渡費用とは、仲介手数料などの売却するときにかかった費用を言います。
以上で、譲渡所得の計算ができます。
実際に、税金がかかる金額(=課税譲渡所得)の計算方法は以下の通りです。
課税譲渡所得 = 譲渡所得 − 特別控除
特別控除とは、居住用の3,000万円特別控除の特例などの以下を言います。
1.公共事業等のために土地・建物を売却した場合 | 5,000万円 |
2.自己居住用の土地・建物を売却した場合 | 3,000万円 |
3.特定土地区画整理事業等のために土地を売却した場合 | 2,000万円 |
4.特定住宅造成事業等のために土地を売却した場合 | 1,000万円 |
5.農地保有の合理化などのために土地を売却した場合 | 800万円 |
それぞれの特別控除額は、上記に示した額にかかわらず、特例の対象となる譲渡益の額が上限となります。つまり、自己居住用の不動産を売却して譲渡所得が2,000万円の場合、2,000万円が控除されることになるわけです。あくまでも最大3,000万円まで控除できるということです。また、特別控除額の合計は、年間5,000万円が限度となり、5,000万円に達するまでの特別控除の順番は、上記の1から5までの番号順で進めることにななります。
そして、払わなければいけない税金の計算方法は以下の通りです。
税額 = 課税譲渡所得 × 税率(所得税・住民税)
特例と特別控除・繰越控除
使用の用途(居住用・事業用・その他)により特例が異なります。
譲渡益が出た場合、一定の条件を満たせば①・②・③を受けることができます。
① 3,000万円特別控除の特例
② 10年超所有軽減税率の特例 ③ 特定居住用財産の買換え特例 |
譲渡損が出た場合、一定の条件を満たせば④・⑤を受けることができます。
④ 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
⑤ 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除 |
④または⑤の適用がある場合、その譲渡損は他の所得との損益通算及び翌年以降の繰越ができます。
一定の条件
所有期間 | ||||
長期区分 | 短期 | 長期 | ||
期間 | 5年以下 | 5年超 | 10年超 | |
居住の有無 | 居住用 |
短期譲渡所得 ①3,000万円特別控除 |
長期譲渡所得 ①3,000万円特別控除 ④居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除 ⑤特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除 |
|
②10年超所有軽減税率の特例
③特定居住用財産の買換え特例 |
||||
非居住用 | 短期譲渡所得 | 長期譲渡所得 |
つまり、非居住用の不動産については、以上のような特例や控除は適用されません。
例題
平成21年4月にマンション(3,000万円・居住用・鉄筋コンクリート造)を購入した。それを平成28年1月に3,200万円売却した場合、譲渡所得にかかる確定申告の税額はいくらか。譲渡費用は200万円とし、特例等は対象外とする。またマンション購入時の3,000万円のうち、土地が1,000万円、建物が2,000万円とする。 |
譲渡所得 = 譲渡収入金額 −{(取得費 − 減価償却費)+ 譲渡費用}なので、まずは減価償却を求めます。平成21年4月〜平成28年1月で6年8ヶ月となります。5捨6入なので7年ということになります。
減価償却費=2,000万円×0.9×0.015×7年=189万円
譲渡所得=3,200万円−{(3,000万円−189万円)+200万円}=189万円
所有期間は平成28年1月1日で7年なので、長期譲渡所得の所得税・住民税の税率20.315%が適用となります。
譲渡所得189万円×20.315%=383,953円(所得税・住民税)
まとめ
不動産を売却した利益を譲渡所得といいます。利益の場合には所得税・住民税がかかるが、損失の場合は税金がかかりません。不動産の譲渡所得は、他の所得税と一緒に計算して相殺することは不可能です。課税方法は所有期間によって異なり、譲渡した年の1月1日現在において、所有期間が5年以下か5年を超えるかにより大きく二つに分けて判断します。また、使用の用途を居住用、事業用(非居住用)に分けて、条件が該当する場合には特例や特別控除、繰越控除を受けることができます。
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